「新春スペシャル 藤岡弘、探検シリーズ
エチオピア奥地3000キロ幻の白ナイル源流に 古代裸族の血塗られた儀式を見た!!」
新春1月2日18:00より3時間スペシャル


テレビ朝日系列 スイスぺ! 藤岡弘、探検シリーズ回想録 Vol.2

「藤岡弘、探検シリーズ第3弾 南米ギアナ高地切り裂かれた大地の闇に謎の地底人クルピラは実在した!!」

あきらめない心がある限り。

 

“藤岡弘、探検シリーズ”もいよいよ第3弾となった。回を重ねるごとにどんどん過酷になっていくようで、隊長の私としては絶対に気の抜けないところだ。今回の探検は、南米大陸北東部に広がるギアナ高地だ。3〜4億年前の地殻変動によって形成されたギアナ高地は“地球最古の大地”といわれ、特殊な地形のため21世紀のいまなお文明を拒絶している。そのほとんどが人跡未踏の熱帯雨林に覆われており、太古のままの自然が息づいている。

このギアナ高地に暮らす先住民たちの間で、しばしば目撃されている、謎の存在“クルピラ”。彼らにとっては守り神的な存在であるという。一説では地底に住むともいわれるクルピラを追って今回も探検を開始した。前回の探検では、プロの蛇使い達に協力をお願いしたが、今回はギアナ高地の洞窟に詳しいベテランケーバーと行動を共にした。こういった探検では地元のエキスパートがいないと大変に危険である。彼らがいないと探検そのものが成り立たないともいえる。現に今回も次から次へと試練が襲ってきた。何よりも恐ろしかったのはなんと150m近い断崖絶壁である。探検隊メンバーは皆きちんと訓練を積んでいたので、崖を下りる技術はもちろんあるのだが、問題はその高さだ。150mというと東京タワーの展望台ぐらいの高さになるらしい。最初に下を覗いたときは、まさに目がくらむ思いがした。しかし、私は隊長である。まず最初にアタックしなければならない。リーダーたるもの身をもって範を示さなければ、後のものがついてこれない。私は意を決して降下した。実は私にとってこうした経験は初めてではなかった。ハリウッド映画「K2」に出演したときに、1ヶ月近くみっちりとロッククライミングの訓練を受けたことがあるのだ。道具こそ進歩していて当時のものとは、違ってはいたが基本は同じだ。あの時の経験がじつに私にとっての力となってくれた。常々私は、いろんな役を演じるにあたって「実をもって虚をなす。」ということを心がけている。普通ドラマの場合は、スタントマンも使うし、カット割りでそれらしく見せることができる。しかし、私はこれまでいろんなドラマの中でも、出来る限り自分でアクションをこなしてきた。射撃のシーンなども外国まで行ってきちんとした訓練を受け、少しでも本物の撃ち方に近づけるよう努力もしてきた。そもそも私の素地には幼いころから訓練を重ねてきた「武道」がある。本物を知らなくて演じるのと、知って演じるのでは演技の中身はがらりと変わってしまう。たとえドラマであっても、私は本物に裏打ちされた演技を心がけてきた。ましてやこの探検には代わりはいないのだから、やり遂げるしかない。これまでの数々の経験や実体験が、私の「探検」を支えていてくれるのだ。

自然の驚異。美しい鍾乳石。

150m近い高さを一気に降下!

探険の合間にしばし瞑想。

私を含め、全員が無事150mの崖をクリアし、いよいよ目的の洞窟へ進入した。その中はなんとも見事な鍾乳洞になっていた。何億年かかってできたのだろうか。あれほど見事な鍾乳洞を今まで見たことがない。その造形の見事さに畏敬の念が湧いてくる。毎回の探検の度に、記録として写真を撮ってくるのだが、本当にそこで見る自然の素晴らしさは切り取られた写真では表現できないことが多い。体験に勝る感動はないなとつくづく思う。
探検の途中、現地少数民族との出会いもあり、地球の隅々、どこであろうと人間の心は通じるのだと思うと無性に嬉しくなるものである。あのような過酷な大自然の中で生きる人々の生命力と知恵には、感動と共に人間の偉大さをあらためて実感し、勇気づけられたものである。我々のように文明の中で便利さと豊かさと甘えの中で生活している事を考えると、生かされている事への感謝の念がなくなり傲慢になっていることに気づく。恐ろしいことである。

ギアナ高地先住民と記念撮影。

ケーバーとともに。

さて、探検であるが、最後はやむなく撤退する事にしたのだが、今回はこれでよかったと思っている。地元のケーバーが言う通り、自然が永きにわたって作り上げてきた環境を破壊することは許されない。解明できない謎や秘密があってこそロマンとも言えよう。隊員の疲労もピークをとうに越えていた。何も猪突猛進ばかりが探検ではない。自然の懐に飛び込んでいくことで、その奥深さと偉大さを知り、畏敬の念を抱きつつ自然との共生を考えることこそ、探検の大きな目的であると言えるだろう。私たち隊員の全員がその持てる体力、気力をフルに使い、挑戦した。その結果として全てが思った通りに行かなかったとしてもそれは恥ずべきことではない。その実体験をバネにして、次なる挑戦をつづけ、夢を追い続けること。そのあきらめない心こそが探検の神髄であると私は信じている。まだまだ探検は続くのだ。

藤岡弘、


 

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